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【パン屋さん向け】2025年の年末調整が変わります!「大学生の扶養」の大きな落とし穴に注意

パン屋さんのオーナー様、スタッフの皆様、こんにちは。
税理士の喜多です。 そろそろ「年末調整」の書類が配られる時期ですね。毎年「ちょっと面倒だな」と感じる作業かもしれませんが、今年、2025年(令和7年)の年末調整は、本当に気をつけてほしい大きな変更点があります。

特に「大学生のお子さんがいるご家庭」は、知らないと損をしてしまう可能性がある大切なルール変更です。 パン屋のオーナー様ご自身も、お店で働くスタッフさんにも関係する話ですので、できるだけ分かりやすく解説します。

目次

■所得税の「年収の壁」が103万円から123万円へ

まず、ニュースなどでも話題になった変更点です。 パートさんやアルバイトさんの所得税がかかり始める「年収の壁」が、103万円から123万円に引き上げられました。
(※これは所得税の話で、社会保険の「106万円の壁」などとは別の話ですので、ご注意ください)

【最重要】「大学生の扶養」のルールが激変しました

今回、私が一番お伝えしたいのは、この「扶養控除」の話です。

■今までの問題点:「103万円の崖(がけ)」
今までは、大学生のお子さん(19歳~22歳)がいるご家庭は、「63万円」という大きな扶養控除(税金を安くする仕組み)がありました。

しかし、そのお子さんのバイト代が年間103万円を「1円でも」超えてしまうと、この63万円の控除がいきなり「ゼロ」になっていました。 これは「崖(がけ)」から突き落とされるようなもので、たった数百円稼ぎすぎただけで、親御さんの税金が年間10万円以上も増えてしまう、という厳しい仕組みだったのです。

■今年からの新制度: 「坂道(さかみち)」になりました
この「崖」の問題が、今年の2025年(令和7年)分から、ようやく解消されます。 新しく「特定親族特別控除」という制度ができました。

これは、一言でいうと「崖」が「ゆるやかな坂道」になったイメージです。 お子さんの収入が新しい基準(123万円)を超えても、控除額はすぐにゼロにはなりません。収入が増えるにつれて、63万円の控除が「段階的に少しずつ」減っていく仕組みに変わりました。

ざっくりとした目安ですが、お子さんの収入が150万円程度になるまで、何らかの控除が受けられるようになります。
これはご家族にとって、とても良い変更ですね。

■結論:今年の年末調整で「オーナー様・スタッフ様がやるべきこと」

この新しい制度ができた結果、年末調整で私たちがやるべき作業が変わりました。

「大学生のお子さんの、1年間の正確な収入(所得)金額を申告書に書く」

これが、今年の最大のポイントです。 今までは「103万円以下ですか?(はい/いいえ)」のチェックだけで済みました。 でも、これからは収入額に応じて控除額が細かく計算されます。そのため、配偶者の収入を書くのと同じように、お子さんの正確な収入金額を申告する必要があるんですね。

実際に、年末調整の申告書様式も変わっています。 去年まで「基・配・所」と呼ばれていたものが、今年は「基・配・特・所」となり、「特」の文字が加わっています。この「特」こそが、今回の新しい控除のための欄です。

パン屋のオーナー様は、ご自身の家族構成の確認はもちろんですが、お店のスタッフさんにも「今年は大学生のお子さんがいる方、書類の書き方が変わりますよ!」と、ぜひ声をかけてあげてください。

今年の年末調整は、この「大学生の収入」が大きなキーワードです。 もし「うちのスタッフさんの場合はどうなるの?」など、ご不明な点があれば、お気軽に私たち専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

■ 2023年に税理法人ベイカ・ワン代表社員就任|パン屋さんに向けた情報発信|パン屋専門税理士の仕事|パン屋さんの実状と有り難みの発信をしています■税理士事務所の採用|事務所体験・インターン|事務所内研修に力を入れています■パン屋さん向け講演|パン業界情報のメディア|など実績多数

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